バカ。



泣くな。




泣くな。




「やーみちゃん。なーくなっ!」




唯人君は今にも泣き出しそうな私の髪の毛を、突然くしゃくしゃっとした。




「ちょっと…ボサボサ」


「悲しくなくなった?」


「っ~~…」




いつもこうだ。



唯人君のペースにはまっちゃう。



もう、私……!!




唯人君はシャンパンがかかった手を洗うとタオルでその手を拭きながら、私の顔を覗き込んだ。




「やっぱり、夜深は綺麗でかわいいな。」



「……」



唯人君は私にそう言ってテーブルの方に歩いた。



「おいで」




そう優しく私に手招きする唯人君。




私はその言葉に従って、唯人君の目の前に座った。