「夜深?どした?」
押し黙る私の顔を唯人君は覗き込んで、不思議そうに見つめた。
「……ううん。何でもない。」
「本当に?」
「うん。」
「そう…なら、いい……」
「うん。」
唯人君に
“寂しい”
って
言えなかった……
彼を困らせたくなかったのか…
それとも、本心を言いたくなかったのか…
わからない。
わからない。
……自分が
むかつく。
「…冷えちゃった。唯人君、部屋、戻るね?」
私はできるだけ笑顔で唯人君にそう言った。
彼は引き止めてくれる。
大丈夫。
待ってって……言って、それで、また抱きしめてくれる。
ねぇ?
「……そうか… ごめんな…寒いのに」
「……っ…」
私は唯人君に何も言わずに部屋に入った。