私はパタンと携帯を閉じて唯人君に微笑んだ。
「おはよ。」
「おはよう夜深。」
挨拶を交わすと、唯人君はこっちへ来いと
私に手招きをした。
私はキョトンとした顔で唯人君を見つめた。
「夜深。こっちおいで。」
私は言われるがままに唯人君に近づいた。
このマンションのベランダには仕切りというものがない。
だからこうやって
「夜深はいい匂いがするな!!」
私は唯人君に抱きしめられているのだろう。
「…ちょっ…いい匂いって…!」
「ははは!変態発言だった?」
「軽く」
「でも、本当なのに?」
「……もういいよ…」
唯人君には勝てない。
何でも笑うし、でもそれが嫌じゃない。
「夜深。明日は何の日でしょーかっ!!」
「突然」
「いいから!」
突然言い出す彼。
思わず吹いてしまいそうになるのをこらえて、彼の質問の答えを考える。