掴まれた手首が熱を持つ。



「危ないだろ…家、教えてくれれば送るから……」



「……離して…よ…」



「え?」



「離してって言ってるの!!!」



「ちょっ…!」



「私に構わないでよ…!!」



私は手首を思いっきり振って彼の手を振り払った。



「私に触らないで!追いかけても来ないで!」




私はそう叫んで、そのまま前に続く道を走った。



彼は追いかけては来なかった。




ほっとしている自分と



寂しさを感じている自分がいる。




「ふ……」



バカな自分。




情けなくて、




笑える。




何で彼は私を見つけたのだろうか。



何で私を追いかけたのだろうか。




何で



何で




掴まれた手首が




まだ熱い………