唯人君は私の頬に流れる涙を優しく拭ってくれた。
「ねぇ、唯人君。話してもいい?」
「…? うん。」
「私ね?両親には愛されてないって思ってるの。」
私は唯人君の手をギュッと握りしめた。
本音を人に話すのは唯人君だけだから。
そう伝えたくて……
「ここに引っ越して来たのはね?お父さんとお母さんの仲が悪くなり始めたときなの。」
「……」
「そのときには私はもう物心ついてて…… でも、それまでは誕生日、してくれてたの」
なのに…
「引っ越して来て、お父さんとお母さん…もっと仲が悪くなって…私のことなんか忘れちゃったみたいに二人とも仕事仕事って……海外に行ったっきり帰って来ないの。」
でも、寂しいなんて言えないの。
ーー夜深ちゃん。寂しいなんて言わないで。お父さんもお母さんも頑張ってるんだからね?
「お父さんとお母さんは……私のこと、愛してないから、そんなこと言って…仕事してるんだよ……」
「夜深……」