「着いたよ。」
「ここ?」
「うん」
唯人君が急いで連れてきてくれた場所。
そこは……
「綺麗…」
とても都会とは思えない、月と星がよく見える場所だった。
「綺麗…。でも、何で私を連れてきてくれたの?」
そう。そこだ。
夜の散歩に誘ったのは私だけど、まさか私が知らない所に唯人君が連れてきてくれるなんて。
「夜深…… 今日、何の日かわかる?」
「今日?」
「うん。今日だよ。」
今日は、十二月九日……
「…今日…は……」
唯人君は私を泣かせる天才だ。
今日は……
「夜深。誕生日おめでとう。」
「っ……」
涙が止まらない。
「……っ…何で、知ってるの…」
「…内緒。でも、この場所で見る空を絶対今日見せてやろうって思ったんだ。」
「……また…内緒って…」
“ありがとう”
って言いたいけど、素直に言えない。
ねぇ、唯人君…
それが私って
わかってくれてる?