夜は月を見て過ごした。
でないと、私、おかしくなりそうだったから。
「……よし!」
私は目の前に置いてある携帯を手に取った。
震える手。
私は電話帳を開いて、その人に電話をかけた。
少し、早い時間だったかな?
出ない?
『もしもし!!!』
「わ…」
びっくりした。
いきなり出るから。
「…あ…唯人君…?」
『……』
「あの……」
違うのかな?
でも確かに、赤外線だったから間違ってはいないと思うけど。
「あの……もしもし…?」
『……夜深?』
「…おはよ…唯人君。私のことからかった?」
やっと応えてくれた唯人君。
私はホッと安堵の息を漏らす。
『だって、夜深からのモーニングコールが来たから、声聞いて感動に浸ってた!』
「何それ、声なんていつも聞いてるのに。」
『いいの!かけてきてくれたのが嬉しかったんだから!』