一瞬、肩がピクッと震えた。
いきなり声を掛けられたからびっくりしたし……
私は声のした後ろへ、ゆっくりと振り向いた。
「……あ…」
しまった。
と思ってももう遅い。
振り向いた先には、自分と同い年くらいの男の子が立っていた。
「何してんの。こんな夜中に、女の子一人で。危ないでしょ…」
「……」
「こんな時間にこんなとこで何してんの?」
「……」
どうしよう……と思うよりも先に
体が動いていた。
私はその人からできるだけ遠くに行きたくて、全速力で走った。
「おい!!待てよ!」
こんなときにブーツを履いているなんて、最悪だ。
思うように、うまく走れない。
「……おいっ!待てってば!」
ダメ……
捕まっちゃ……
「おいっ……」
「っ……」
何で男の子はこんなに足が速いんだろう。
「……おい…何で逃げるんだよ…」
私は彼に強く手首を掴まれて、そこで足を止めざるを得なかった。