「じゃあ、帰ろう。ここじゃちょっと寒いし。」


「私は温かいけどね。でも、唯人君が風邪ひいたら困るから。」



「ははは。夜深は優しいな。さぁ、行こうか。」



私は唯人君に手を握られながら部屋に向かった。


外の空気で冷えたはずの手が、唯人君に握られている所だけ熱い。




まるで、あのときみたい。



唯人君と出逢った夜……



私は無理やり唯人君の手を払ったんだ。



でも、掴まれた腕はいつまでも熱くて……



なぜか涙が溢れそうになったんだ。