夜を出歩いて、ひとりを怖くなくしたかった。
お母さんが言ったんだ。
『寂しいなんて言わないでね』
って……
「お父さんとお母さんは、弱い私は嫌いだから…だから、ひとりでも平気でいなくちゃいけなかった。」
でももう限界だよ…
「怖い。怖いの……ひとりは嫌…寂しい…」
お願い。
「お願い…っ…ひとりにしないで…」
もうひとりは嫌なの……
唯人君はカタカタ震える私を強く、だけど優しく
抱きしめてくれていた。
何も言わないのに、それだけで唯人君が
「ひとりじゃないよ。」
って言ってくれてるみたいだった。
「夜深……人は生きてる限り弱いんだよ。強いと思ってる人だってどこかに弱さを隠してる。だから、完璧に強くなるなんて無理だよ。夜深は弱くていいよ。」
唯人君はそう諭すように言いながら、私の髪をゆっくりと撫でた。
「夜深は俺が守るよ。だから、泣いていいんだ。」
「っ……」