ヒュウと冷たい風が頬をかすめる。
「ハァ…寒…」
やっぱり、いない…か……
「…ははっ…バカみたい…」
期待しないなんて言っても
どこかで期待してるんじゃん。
「本当、バカみたい…」
私は呟きながら部屋の鍵を閉めた。
ついでに夜の散歩もしよう。
私は鍵をポケットに入れて顔を上げた。
「………」
何で…
「やっと出てきた。」
「っ…」
意味……わかんない…
「外めっちゃ寒い!!」
「どうして…」
「へへっ…待ってたんだけどさ、出てくる気配がないから一回学校行って、でも夜深が気になって仕方ないから早退してずっと待ってた。」
「……バカじゃない…?」
「うん。バカかも。」
「バカだよ……」
本当……
私は、唯人君の元へ行きその冷え切った手を握りしめた。
「バカ…だよ…」