『綺麗な名前だな。夜が深いって書いて“夜深”。』ーー
そんなふうに言ってくれたのは
唯人君が初めてだった。
大嫌いな自分の名前、大嫌いな自分を少し好きになれた。
『空って無限に続いてるように見えるだろ?でも、空って地球の大きさしかないんだよな。だからさ、どこか遠くにいる人とも繋がってるんだって思えない?』ーー
寂しくて寂しくて仕方なかった私を暗いところから助けてくれた。
「っ……」
唯人君が私にしてくれたことは、思い出すとキリがなくて。
初めてのキスも、初めて一生懸命に夜をすごしたことも
どれも、大切で。
忘れたくなくて。
唯人君
唯人君
唯人君……
大好きなの。
嫌いだなんて嘘なの。
でも、もう戻れない。
私は彼を傷つけた。
最悪な女だ。
私はこれから嘘を突き通さなければならない。
それが、彼を傷つけた
私の背負わなければならないものなんだ。