「夜深!」
呼ばれて顔をあげると、手を振りながらこちらへ走ってくる雅人君がいた。
ほんと、唯人君にそっくり。
「雅人君、早いね。もう少し早く私もくるべきだったね。ごめんね」
「ははっ。平気だよ。俺が早く来すぎた。」
雅人君はそう言うとにこっと笑った。
つられて、私もふっと笑う。
ああ、でも私…
「…夜深?どこいこっか」
「あ、え。決まってるんじゃないの?」
「ううん。何も」
「へ…」
何なの、雅人君…
「…ふ、ふふ」
「へ?夜深?」
「あははっ!決まってるから私を誘ったのかと思ってた!」
おかしくて涙がでてきた。
「やっと笑った」
「…え?」
私は涙を拭きながら、雅人君の顔を見上げた。