「っ…嫌だっ!!」


私は怖くなって、唯人君をドンッと思いっ切り押した。



「……嫌だよ…こんなの…」



私はワイシャツのボタンが外されて、胸が見えそうになっているのを手で隠した。




「私は……唯人君が好きだよ。…なのに…唯人君は私の気持ちなんか分かろうともしてない」


「……夜深…」



「もういいよ…」



「……」



私はその場に佇む唯人君を残して、ワイシャツのボタンをかけながらそこを去った。




「っ…」



なぜだか涙が溢れてくる。



「…っ~…ふ…」



唯人君とケンカしちゃった…



今冷静になってみると、全部私が悪いんだ。




唯人君が怒るのも無理ない。




でも……




怖かった




唯人君を初めて怖いと感じた。



それが何だか嫌で



そう感じてしまう自分も嫌で嫌でたまらない。




「…っ……唯人君…」



私は誰もいない廊下の壁に寄り掛かり、力無く座り込んだ。




唯人君は追い掛けてこない。



大変なことを、私はしてしまったのかもしれないんだ…