「夜深!どーいうことだよ!!」
放課後、珍しく唯人君が私を怒った。
誰もいない廊下の壁に両手をついて、その中に私を閉じ込める。
「…ごめん…なさい…」
私は謝るしかなかった。
「…雅人の方が、好きになった?」
「え…」
唯人君は俯いて震えていた。
「…唯人君…」
名前を呟くと、唯人君はギュッと私を抱きしめた。
「唯人君…?」
「っ…ごめん…」
「…唯人君…泣いてるの?」
私はそっと唯人君の胸を押して彼の顔を覗き込んだ。
「…泣いてる…」
「…うん…一人が怖い」
唯人君は泣いていた。
こんな顔初めて見た。
私が…させている…?
「夜深、行かないで…」
「…ダメだよ…」
「何で」
「…私が行かないと、二人の仲は余計に悪くなっちゃう」
私は強く唇を噛み締めた。