私はごくりと唾を飲み込んでからゆっくりと口を開いた。
「わ…私、雅人君と一緒に行くよ。一応…了解しちゃったんだし…」
「夜深!?本気かよ!」
「ごめん唯人君…。でも、友達だから」
私は雅人君を真っ直ぐに見つめ、自分にも雅人君にも言い聞かせるように言った。
「友達だから、雅人君とは。それ以上の関係にはならないよ。それで良かったら一緒に遊びに行こう」
内心、ドキドキしていた。
自分がこんなこと言うなんて信じられない。
雅人君はしばらく黙っていたけれど、口角をくいっとあげて
「わかった」
とだけ言った。
「じゃあ夜深、日曜日の9時。俺が夜深のマンションまで迎えに行くよ。唯人の部屋の隣…に…」
「うん…」
雅人君は用事を済ませてすっきりした顔で自分の席へと戻った。
だけど、唯人君はずっと顔を歪めたままで
すごく元気がなかった。
私は唯人君の背中にそっと手を添えて謝罪の気持ちを表した。
唯人君…
「ごめんなさい…」