私は二人の顔が見れなくて、唯人君の後ろに隠れていた。
「夜深を返してもらうよ」
「雅人…何言ってんだよ」
「…本気だよ。あと…唯人、多分もうここにいる人達みんながわかってると思うからさ、言うけど」
「…!」
「みんな、俺と唯人は双子なんだ」
「…っ」
私は唯人君のワイシャツを強く握りしめた。
ダメ…それ以上言わないで…
雅人君…
言わないで…
「苗字が違うのは…」
ダメ…
「やめろよ」
え……
私はゆっくりと声が聞こえた方を見た。
「…小池君…」
そう、小池君だった。
「藤島。お前、空気読めよ。みんな怖がってんのわかんねえの?…お前が返してもらうって言ってる相澤さんも」
私は小池君に名前を出され体がビクッとなったのがわかった。
足も、カタカタ震えてる…
「みんな席着けよ。授業始まる」
小池君は最後にそう言うと、機嫌悪そうにイスに座った。
みんなもぞろぞろと席に着く。私と唯人君も席に向かった。
途中、雅人君とすれ違う。
二人共、お互いに冷たい目で睨み合っていた。