朝のホームルームが終わると、雅人君の周りにはたくさんの人だかりができた。
特に女子。
私はきゃあきゃあ言って雅人君に話し掛けている子達を冷めた目で眺めていた。
小池君も、指を机にトントンとさせていて、いかにも怒ってますオーラを出している。
「相澤さん」
「ん?」
「藤島雅人って…唯人の何なの?」
機嫌が悪い小池君はまだ指をトントンしながら、私を見ずにそう尋ねてきた。
いきなり核心に迫る質問だ。
「唯人君に聞いてないんだね…」
「…うん…言ってくれないんだ…親友だと思ってたのに。俺だけだったのかな…親友なんて思ってたの…」
小池君はしゅんとした顔でハァとため息をついた。
「…唯人君は明るいし楽しい人だけど、本当はすごく寂しい人でもあるんだよ…だから、本音言ってるようで実は言いたいことはしまい込めてたりするの」
「うん…何となくわかる」
「きっと、私にだって本音言ってなかったりすると思うの。」
私はその言葉を自分で言って何かが胸を刺すのを感じた。