そうか…
だから昨日…学校に来てたんだ
何で気付かなかったんだろう…私…
「…藤島雅人です。一年っていう短い間だけどよろしくお願いします」
担任に自己紹介を促された彼は、丁寧にそう言うと下げていた頭を上げて、にっこりと微笑んだ。
不覚にも、その笑顔にドキッとしてしまった。
「席は後ろに用意してあるからな。はい、じゃあホームルーム終了!あ、佐野は後で職員室来てくれ!話があるから」
担任は雅人君を席に座らせた後、スラスラと文章を読み上げるみたいに唯人君に向かって言った。
「…はい」
チラッと後ろを向くと小さく返事をした唯人君を、雅人君がフッと笑って眺めているのが見えた。
「……」
雅人君…
そんな顔しないで…
そんな顔で唯人君を見ないで……