小池君は何を話そうとしてたのだろう。
私は隣に座る小池君の顔を覗き込むようにして眺めた。
「…わ…相澤さん…」
「ああ…ごめんね。ちょっとさっきの気になって…」
「あー…うん…実は…ーー」
「お前らー」
ここでまた、担任の妨害。
小池君はため息をつくと
「担任が今から言うと思うから」
と苦笑して前を向いた。
「えー…うちの学年には去年佐野が転校してきたが、また転校生だ。ちなみに…男子だ!」
男子と聞いた瞬間に女子からは黄色い悲鳴があがった。
たしか、唯人君が転校してきたときもそうだったな…
「じゃあ、藤島、入って」
担任が廊下にいる転校生に手招きをした。
転校生は緩んだネクタイを締めながら教室の前に立った。
「…!」
その人を見て思わず私は目を見張った。