ーー“雅人だよ”
何度も頭の中で繰り返される
「……雅人君…」
「うん。あれは雅人」
「……じゃあ…」
あの人が雅人君なら…
「……言うのが遅くなってごめん…。雅人と唯人。俺達、双子の兄弟だよ」
「……」
「名前、似てるだろ?双子で男ってわかったときから母親が決めてたんだってさ……笑えるよな…」
唯人君はそう言って悲しく微笑んだ。
唯人君が…
寂しいっていうときの顔……
我慢しているだけできっと今にも泣き出してしまいそうなんだよね?
唯人君……
「夜深……今まで言わなかったこと…怒ったよな…ごめん…。殴ってもいいよ…」
「……」
私は目を閉じた唯人君の顔に手をのばした。
叩かれると思ったのか、ピクリと頬が微かに動いた。
殴ってもいいよなんて……
殴れるわけ……ないよ…
「…殴れるわけ……ないよ…」