私が教室に戻るとぽつんと一人、唯人君が自分の席に座っていた。
「……」
私はさっきの冷たい唯人君を思い出してしまって、唯人君に話しかけることなく静かにイスに座った。
唯人君がなんだか怖い。
あの人のせい?
あの……
唯人君にそっくりな人…
「夜深」
「……」
鞄を持って立ち上がろうとしたとき、唯人君に腕を掴まれた。
「…放して」
「嫌だ」
「っ…放して!」
「嫌だ」
放して欲しかった。
冷たい唯人君は怖いよ…
だから…
嫌だから…
泣いちゃうから……
「……夜深、泣いてるの?」
「……うん…」
やっぱり唯人君だ。
私が泣いてるのなんかすぐにわかっちゃうんだ。
「…どうして?」
「……っ…」
そんなの…
聞かないでよ…唯人君…
言ったら私のこと、よくわかんないやつって思うよ…