唯人君は私達の方へ歩いてきて、その人の前で立ち止まった。
どういう…こと…?
頭が、ついて行かない…
「…唯人が…2人…?」
小池君は眉間にシワを寄せて1人そう呟いた。
周りにいた人もザワザワとし始める。
けれど私は、目の前にいる2人をただ黙って見ているしかできなかった。
唯人君が2人…?
「…意味……わかんな…」
私はゆっくりと立ち上がり、すぐ前にいる唯人君にギュッと抱きついた。
「唯人君……」
「夜深。職員室に用があるんだろ?行ってきなよ」
「え…」
唯人君は抱きついている私の手を離して、私を見ずにそう言った。
「唯人君…」
「ごめん。話があるから」
「……」
唯人君が…唯人君じゃないみたい……
「相澤さん…行こう…」
「うん」
私は小池君に促されて中庭を後にした。