どういう……こと…?
「…夜深……?」
その人は、黙っている私ににっこりと微笑んで、私の名前を呟いた。
「……ゆ…いと君…?」
私は乾いた唇をゆっくりと動かした。
わかってる。
この人は、唯人君じゃないってこと…
だって、唯人君は……
横に、小池君と一緒に立ってるもの…
私はゴクンと唾を飲み込んだ。
それでも、唇と口の中は乾いたままだ。
「……夜深…違うよ。唯人じゃない。」
「……じゃあ…」
ドクンドクン…
心臓の音が妙に耳に響く。
ドクンドクン…
「…夜深…俺は……」
ドクン…ドクン…
「待って」
目の前のこの人が言いかけた言葉を遮ったのは……
「…唯人…君…」
今度は本物だ。
黒髪に落ち着いた表情。
だけど優しい雰囲気が漂っている。
私の大好きな人…