「っ…ハァァァ…」
掃除の時間。
先生に用があって職員室に向かっているときだった。
たまたま通りかかった中庭で、掃除をしながら話してる唯人君と小池君を見つけた。
何やら小池君は箒を杖のようにして体重をかけながら、大きなため息をついている。
二人の会話に少し興味を持った私は、バレないように二人の横をゆっくりと歩いた。
「…ハァ…ダメだあ…俺」
「何が?」
「…怒んない?」
「話による」
「まぁいいや。唯人だから、これだけのことならきっと怒らないと信じて言うよ」
小池君は、眉を下げてまたハァとため息をついた。
そして、箒で中庭を掃き出した。
「……俺さぁ…」
「何だよ」
「あのさぁ…」
「早く言えよ」
「…ハァァァ」
「何だよ!」
唯人君はバシッと小池君の頭を叩いた。
「いってぇ…」
「お前がぐずだからだろ」
唯人君、その通り。
横で盗み聞きしている私も、小池君の態度に少しイライラしていた。