夜深。
何をどう考えたら、こんな名前が思い浮かぶのか。
全く、愛なんてないんだと
名前が語っている。
「ふぅ…」
私は歩きながら空を見上げた。
今日は星がたくさん見えて綺麗な空だ。
空を見上げる私の顔に
冬の冷たい風が吹きつける。
あと何時間したら、夜は明けてしまうのだろう。
携帯の電源を切っている私はそんなことを確かめようともしない。
とりあえず、夜が明けるまで家になんか帰らない。
夜は自由なんだから。
暗くて、誰も私なんかを見ないんだから。
ひとりで夜を歩くの……
“夜深”
夜が深い。
そんな名前の私だから。
明るい朝と昼なんて似合わない。
夜じゃないと、私は生きちゃいけないんだ。