「軽い捻挫ですね」
病院の診察室。
先生はサラリとそう言うと、手元にある紙に何かをスラスラと書き始めた。
「湿布。出しときますから。それで痛むようならまた来てください。」
「はい…。ありがとうございました。」
診察が終わると、診察室まで一緒に来てくれた唯人君が、また支えてくれた。
そんな優しい唯人君が、私…大好きだよ。
でも、すっごく悲しい顔に見えるのは、気のせいかな?
唯人君…
帰りのタクシーの中。
いつもみたいに話をしていたけど、何だか二人の間に変な壁があるようで
嫌だった。
唯人君は何か隠してる。
何か…言えないこと?
聞けない。
聞いて、唯人君が離れて行っちゃったら
嫌……
だから、あえて……
聞かない……