あの男の子の名前……
やっと思い出した。
声を聞いて、思い出した。
昔よりすごく低くなってた。
嬉しいはずなのに。
涙が出る。
何で、急に連絡してきたのか、とか…
思うことはたくさんあるけど、今は……
涙が止まらない。
何かが引っかかるんだ。
……忘れてるんだ。
何かを。
だから、思い出して涙が溢れてる。
でも…
何?
何だろう……
何……だろう…
「っ……」
唯人君が待ってる。
行かなきゃと思っても、力が入らない。
余計に涙が溢れた。
「……ぅ…っ…」
ガチャーー
「夜深?」
ナイスタイミング。
「遅いから、迎えに来た。何して……夜深?」
部屋に静かに唯人君が入ってきて、泣きじゃくる私を見つけた。