部屋に入った私は、制服から私服に着替えた。
足を少し引きずりながら、玄関へと向かう。
そこで、また、電話の留守電ボタンが点滅しているのが視界に入った。
「またおばあちゃんかな?」
私は一人でクスクス笑いながらボタンを押した。
『……夜深?』
「……」
聞こえてきたのは、何だか聞いたことがあるような、ないような…
男の人の声
でも…知らない。
『夜深……俺です。って言っても分からないか。えー…おばあさんに連絡先聞きました。引っ越してたんだね?手紙を書いても返事がないから…』
知らないはずなのに……
ドクンドクンと脈拍が速くなる
『覚えてるかな?俺…雅人だよ…今、日本にはいないんだけど…来週、帰るんだ。そのとき…』
ピーッ……
そこで、留守電は終わっていた。
雅人……って……
ーー藤島雅人ってあるけど……
『夜深!!』……
「っ…」
…思い……
出した………
私は、電話の前にペタンと座って、ひたすら溢れる涙を流した。
何で、涙が出るの?
どうして……