帰り道は体育着のズボンをスカートの下に履いて、唯人君におんぶしてもらった。
「重いでしょ?」
と何度も言う私に、唯人君は
「軽すぎるよ」
と言って笑った。
マンションに着いて、部屋の前に着くと、唯人君は心配そうな顔で私を見つめた。
「唯人君…?」
「夜深…ごめんな。足、痛むだろ?」
「少しね…。唯人君が謝らなくてもいいんだよ?唯人君は何にも悪くない。病院も行ってくれるでしょう?」
「もちろん。そのつもり」
「じゃあ、そんな顔しないで!」
「うん…」
「ふふっ、じゃあ着替えて来るね。自分の部屋にいてくれていいからね?」
「……うん…」
私は唯人君に微笑んで、部屋に入った。
唯人君…
ちゃんと、聞けば良かったね……
唯人君が保健室で話そうとしたこと…
そしたら、ちょっとは違った未来があったかもしれない。
私も、まさか、“あの人”からの連絡があるなんて
思いもしなかったんだよ……