唯人君は、今度は私の唇に軽いキスをしてから、私を見つめた。
「……唯人君…もっと…」
私は唯人君の体育着の袖を引っ張ってそう言った。
「夜深からそんなこと言うなんて珍しいね?」
「うん…。唯人君が中村さんに取られちゃいそうで、怖い。だから…」
「だから~!!俺は夜深だけなの!!」
「……唯人君…」
唯人君のそんな嬉しい言葉に胸がドキドキと高鳴る。
じっと見つめられると、動けなくなる。
「唯人君…」
私は無意識のうちに、唯人君の首に腕を回していた。
「夜深…大胆…」
そう笑いながらも、唯人君は私の腰に手を回し、唇を重ねた。
なぜだか、涙が溢れた。
「……夜深?」
私が泣いているのに気づいた唯人君は、キスの途中に唇を離した。
「っ……」
「…夜深?嫌だった?」
私は大きく首を振る。
「どーしたっ?」
「…っ……好き」
それしか、言えないの……