「…ハァ……」
私はその人をゆっくりと瞬きしながら見つめた。
「小池、夜深は俺が連れてく」
「あ…うん…」
そう言うと、彼は私に近付いて突然、私を抱きかかえた。
「っ…ハァ…ちょっと…唯人君っ…ハァ…」
「先生、相澤さんは俺が保健室連れて行きます。試合、しててください。」
「おう。悪いな、佐野。」
「いえ…」
唯人君は先生にペコッと頭を下げて、私達を眺めるみんなに背を向けた。
「ハァ……唯人君っ…」
「ん?」
「ごめん…ね…」
なぜだかわからないけど、涙が溢れた。
汗と混ざってぐちゃぐちゃだ。
私は、保健室に行く間、唯人君の胸に顔をうずめて泣き続けた。
ごめん。
こんな私で……
嫉妬ばかりして…
ごめんね…