結局、私と唯人君は違うチームになってしまった。
「相澤さん、頑張ってね!」
同じチームになった小池君は私達の試合になると、私の肩をポンと叩いて言った。
私がスポーツできること……知ってるんだ…
試合はどんどん進んで行った。
私は、走りながらまた、中村さんのことを考えていた。
「相澤さんっ」
同じクラスの女の子が私にボールをパスした。
「っ…」
ボールを受け取って、走る。
ーー『佐野君~』
中村さんが唯人君を呼ぶ、あの甘ったるい声が頭の中を駆け巡る。
考えたくないのに……
考えたく……ないのに…
シュートを決めようと、ジャンプしたときだった。
更衣室で中村さんが私に向けたあの笑顔が急に頭に浮かんだ。
ダメッ…
そう思ったときにはもう遅かった。
ガーンッーー…
ボールがゴールの枠に当たり、シュートは外れてそのまま床に落ちた。