教室では、重い空気が流れていた。
いつも騒いでいる小池君が静かだからだ。
私は、そんな雰囲気の中、机に顔をうずめながら、中村さんのことを考えていた。
私も、何度か見たことがある。
ボブカットの髪の毛にパーマをかけていて、それがすごく似合っていて……
一言で言うと、かわいい。
「はぁ……」
でも…
私じゃダメですか?
だっけ?
そんな告白の仕方……
ずるいよ。
かわいいを理由にするなんて、ずるい。
私なんて……何にもないのに…
「夜深?」
後ろから呼ばれて、顔をあげた。
まぁ、夜深と呼ぶのは、彼だけだから分かるけど…
「…唯人君…」
「もう授業終わったよ?教科書しまったら?」
「あ…うん……」
私は慌てて机に教科書をしまった。
「次は体育だよ?女子は着替えにほとんど行っちゃったけど。夜深も着替えに行っておいで」
唯人君は私にニッコリと微笑んだ。
「うん…」
私はゆっくりと頷いて、更衣室に向かった。