『…夜深ちゃん?いないの?おばちゃんだけど…元気?』
私はその声を聞いて、ほっと胸をなで下ろした。
よかった……
おばちゃんだった…
お母さんじゃ…なかった…
『ちょっと…知らない名前の人から家に手紙が届いてるんだけど、藤島…雅人…ってあるけど…』
ピーッ……
おばちゃんの声はそこで途切れた。
おばちゃん……
ゆっくり話しすぎだよ…
私は電話に向かって、クスリと微笑んだ。
でも、藤島…雅人って言ったっけ?
聞いたことない名前……
「…夜深……?」
「あ…おはよ!!」
「ん…おはよ…」
私が電話の前で考え事をして突っ立っていたら、眠そうな目を擦りながら、唯人君が起きてきた。
唯人君も、もう制服に着替えている。
「ごめん!!留守電入ってて、聞いてたからご飯の支度してないの!すぐ支度するから座って待ってて!!」
「うん。待ってる。でも、まだ学校まで時間あるからゆっくりでいいよ?」
唯人君は優しく微笑んで私に言った。