その木を見ると、彼との思い出が蘇ってきて、余計に涙が溢れた。




「っ……いや…お引っ越しなんて…」



勝手にお引っ越しでも何でもすれば


なんて言ったけど、彼は悪くない。



ただ、親が病気だから……




誰も悪くないのに……




「夜深ちゃん?」



え……?




涙を拭っていると、後ろから彼の声がした。




追いかけてきて……くれた?



私はゆっくりと振り向いた。




「あ……」



「夜深ちゃん、どうしたの?」




そこにいたのは、彼ではなくて……



彼の双子の弟だった。