「なーつがすーぎーかぜあざみぃ」
「…ふふっ…しょーねんじだいだ。ずっと歌ってるね?」
「うん。今は春だけど、お父さんが教えてくれたから僕、大好きなんだ!!」
「私も好き!!あの木の下で教えてくれたでしょ?それからずっと好き!!!」
「夜深がそう言ってくれると僕、嬉しい!」
彼はそう言って私に笑顔を向けた。
とっても優しい笑顔。
家に着くまで、ずっとその笑顔を向けてくれていて、ずっと手も握っててくれた。
幸せだった。
ずっと彼といれると思ってた。
でも、子供だった私だから
そのときに彼がどんな状況かなんて、知らなかったんだ。