家を飛び出して、きっとかなりの時間がたった。
寒くて、さっきからカタカタと体が震えている。
怖いよ。
誰か…助けて…
「夜深!!」
「っ…!!」
突然、誰かが私を呼ぶ声がして、私は勢いよく顔をあげた。
するとそこには、暗闇の中を息を切らしてこちらへ走って来る人が見える。
「夜深!!」
「ぅ…ぅ…」
その子は、泣きじゃくる私をそっと抱きしめてくれた。
「お家がわからなくなっちゃったの……ぅ…」
「大丈夫。夜深、泣かないで!!僕がわかるから!!」
「本当?」
「うん!!」
「…じゃあ、手、繋いでもいい?」
「うん!!はい!!」
その子は私に手を元気よく突き出して笑った。
私はその子の手に自分の手を重ねると、ゆっくりと立ち上がった。
「…ありがと…」
彼の温かい手に涙が溢れた。