こうしてベッドに二人で入ってからどれだけ時間がたったのだろう。



辺りは静寂に包まれて、時計の針が動く音だけが響いている。




私は、唯人君の胸に静かに顔をつけた。




「唯人君…」



「ん?」



「昔の話、していい?」


「…昔って、田舎に住んでたときの?」



「うん」



「うん。聞いてみたいな。」



「そんな大した話じゃないよ?」



「いいよ。」




私はクスクス笑って唯人君を見上げた。



唯人君もそんな私を見て笑った。




「私、今は唯人君が好きだけど小さいときには違う人が好きだったんだよ?」



「それは、ほとんどの人がそうだと思うよ。」



「唯人君も?」



「ん?…内緒」



「何よ。」



「ははは」




私はぷーっと頬を膨らませて唯人君を見た。



膨らんだ頬を突っつく唯人君は、ニッと歯を見せて笑った。




「…ただの思い出話…。それでもいい?」



「うん。いいよ。」




私は瞼をそっと閉じた。