“嘘”
唯人君が……
「夜深ごめん…。嘘ってゆうのは、おとといだけなんだ!!後は本当に大学の話だよ。」
「…じゃあ、何で…何で、マネージャーと会って抱き合う必要があるの?何で、嘘ついたの……?」
もう……悔しい…
嘘なんて
嫌いだよ。
「ごめん…。言い訳みたいになるけど聞いて。」
唯人君は眉を下げて言った。
「あの日、呼び出されたんだ。彼女、中村さんっていうんだけど…」
「だけど……?」
「私じゃダメですか。って。」
ダメですか。って何よ。
「もちろん、俺は一途だからダメって言ったんだ。そしたら泣き出しちゃって、謝ったら、抱きついて来たんだ。」
私はそのときの場面を想像した。
いい気分ではもちろんない。
「小池が見たのはそのときだよ。多分。俺、彼女が泣いてたけど謝って無理やり引き剥がして教室帰ったんだ。」
「……」
私は唇を尖らせて唯人君を見た。
目に涙を溜めて、ちょっと睨んでみる。