私は唯人君の手を握って、リビングに向かった。
「…紅茶飲む?あったかいの、煎れるね。」
私は悲しい心を隠すためにできるだけ笑顔を見せた。
「ありがとう」
唯人君はリビングの床にあぐらをかきながら私にそう言った。
「……」
何を話そう…
毎日話していたのに、小池君のあの言葉が頭をチラついて話せない。
もう、気にしたくないのに……
私は用意したカップに、沸騰したお湯を注いだ。
ぼーっとしてちゃダメだ。
せっかくカップに注いだお湯…こぼしちゃう…
「夜深…」
「…!!!!」
突然唯人君に話しかけられて、体がビクッと跳ねた。
「キャッ……あつっ!!」
体が跳ねたと同時に、お湯の入ったカップが手に当たり、それがバシャッと右手にかかってしまった。
「っ……あつ…」
「夜深!?」
リビングにいた唯人君が、物音を聞きつけてキッチンに駆け込んできた。