私の部屋に入ってすぐに、私は後ろから唯人君に抱きしめられた。
「ごめん。俺、ほんと…ダサい。」
「…え?」
「男が彼女の前で泣くなんて…ほんとごめん。」
「そんなの…」
私は大きく首を振った。
「夜深を守らなきゃいけないのに…夜深に何かあったら慰めるのは俺の役目なのに。」
「……」
私は唯人君のその言葉を聞いて、小池君との会話を思い出してしまった。
でも、唯人君が弱ってるときに、そんなこと聞けない……。
「平気…だよ…」
私は私に嘘をついた。
これは唯人君への嘘でもあって、私への嘘でもある嘘…。
本当は…平気なんかじゃない。
凍えそうなくらいに、心も体も冷えきってるの……。
すぐに私を見つけて抱きしめて欲しかったの。
そうすれば私…
あんなこと気にならなかった。
信じるってこと、ちゃんとできた…。
でも、今は…
そんなこと言えないね……