私は止まらない涙を何度も何度も拭った。
それでも、やっぱり涙は止まらない。
「っ…ふ…ぅ……」
ーー抱き合ってた……
嘘…
嘘…
泣きながら歩いていたら、いつの間にか部屋の前に着いていた。
私は、ドアを開けて部屋に入るとそのまま玄関にペタンとへたり込んだ。
何も言わないで、帰って来ちゃった……
こうして一人でいると何かを考えたくなって、唯人君のことを考えてしまう。
唯人君……
君を信じたいけど、そういうことを聞いちゃうと信じることが難しくなってしまうの…
でも……
「……あ…」
足を抱え込んだとき、ポケットの中の携帯が震えているのに気がついた。
携帯を取り出して、画面に写し出されている名前を見た。
“着信 唯人君”
「っ……」
ヴーヴー……
「……」
私は微かに震える指で通話ボタンを押した。