涙が頬を伝う度に、唯人君の顔が頭に浮かんだ。
離れなきゃ……
「離してっ……!!!」
さっきまで力が入らなかったのに、唯人君の笑顔を思い出したら不思議と体に力が入った。
私はドンッと勢いよく小池君の胸を押した。
「大丈夫だから……っ…私はそんなに弱くないから…」
だから……
「抱きしめたり、しないで……」
「相澤さん……」
「小池君が私を好きでいてくれても、私は小池君を好きになることはできない。」
「……うん…」
「…ごめん…じゃあ…さよなら…」
私は教室を飛び出した。
走っても走っても、流れる涙を止めることができなかった。
唯人君への罪悪感と
小池君への申し訳ない気持ちで。
それと……
ーー『俺、見たんだ。俺らの部活のマネと唯人が抱き合ってるところ…』
「っ……」
唯人君を
信じられない気持ち……