小池君は少しためらうように私を見てから口を開いた。
「…これは、相澤さんのことが好きだから言っておく。俺、見たんだ。唯人が……玄関で俺らの部活のマネと抱き合ってるところ……」
「……え…?」
抱き合って……た…?
「あいつ、休み時間に呼び出されてるだろ?俺が見たのは、一昨日の昼休み。職員室行く用事があってさ、そのときに…」
意識が遠くなりそうだった。
涙がじわっと溢れ出てきて……
…もうダメ……
立っていられなくなって、その場にしゃがみ込んだ。
「相澤さん……」
そんな私を小池君は強く抱きしめた。
「っ…」
唯人君とは違う。
胸の堅さも、抱きしめる腕の強さも、香りも……
「……はな…して…」
言葉では言えるのに、体に力が入らなくて
小池君から離れることができない。
嫌なのに……
唯人君以外は嫌なのに……
「好きな子が目の前で泣いてたら、男は抱きしめたくなるんだよ……相澤さん…」
「……っ…」
嫌…なのに…
泣いて、力が入らない…