「今日は授業なしで掃除だけだからサボってきた!!
ほーんとっ、夜深は屋上好きだな。」




唯人君はそう言うと私の横に歩いてきて、私の頭にぽんっと手を置いた。



「……ごめんなさい」



「はい。よく言えました。」




唯人君はクスクスと笑って、私をよしよしってしてくれた。




「…怖かったから…つい…逃げちゃった……」



「うん。知ってる。あいつ、二年生で隣のクラスだったんだよ。小池って言うんだ。多分、夜深のこと……好きかも…」



「…それは……ないよ」


「あるの!!今だから言うけど夜深と付き合う前に俺、言われたんだ。」



「何て?」



「俺、相澤さん狙ってるんだけどお前仲いいだろ。って。」




……何それ。




「でも、私…あの人のことは知らないよ。」



「だろうな。夜深はいつも外ばかり眺めてるから。」



「うん。」




私は手を伸ばして、唯人君の袖を引っ張った。




「ごめんね…」



ただ一言だけ、そう呟いた。