転校して来た初日から唯人君は大人気だったんだ。
男子にも女子にも囲まれて、女子からは隣の席の私に痛い視線を送られたっけ……
「夜深は俺のことを買い被りすぎなんだよ!俺はそんな人気者なんかじゃないよ。」
「ううんっ!!!唯人君が自覚してないだけ!!」
私は唯人君の制服の袖を掴んで、その場でぴょんぴょんと跳ねた。
「夜深~…じゃあ言うけど、夜深は男子に大人気。知ってる?」
「……へ?」
私はその言葉に、ポカンと口を開けて唯人君を眺めた。
「自覚してないのは夜深の方。そうでなくても夜深は隙ばかりだからなぁ~…クラスが別れてたら俺は心配で心配で。」
唯人君は私の頭に手を乗せて笑った。
「さて、ここで話してても仕方ないし、クラス見に行くかぁ!!」
「う~…うん…行くよ。」
本当は見に行くのが怖い。
私は繋いだ唯人君の手をギュッと握りしめて歩いた。