「唯人君が寒いときは…私が温めてあげる。だから……そんな悲しい顔しないで…」




私は震える唇をキュッと噛みしめた。




唯人君…



唯人君が悲しいと私も悲しいよ。



でも、私は何も聞けない

弱虫で…



唯人君の悲しい顔の理由も聞けないの。




だからせめて、抱きしめて温めるよ。




凍える唯人君を……




「夜深。ありがとう……」




唯人君は私にそう言うと強く唯人君を抱きしめている私の腕を取って、くるりとこちらを向いた。




「……夜深…夜深はやっぱり優しいな。」



「あははっ…どうしたの。そんなこと言っても何も出ないよ?」



「本当に思ってる。夜深は優しいし、かわいいし、前も言ったけど天使みたいだ。」



「天使なんて大袈裟だよ。私…そんなに優しくないもの。」



「優しくなかったら、抱きしめてなんかくれないよ。だから夜深は優しいんだよ。」




唯人君はそうやってニコリと笑った。




元気……出たの?