「かっこいい…」
つい口に出してしまった。
「ん?」
「……あ~…あはは…」
言ってしまってから恥ずかしくなる私。
「夜深からそう言われると、照れるね。」
「…あはは」
「夜深もかわいいよ。さ、冷えるから行こう。」
唯人君はさらっと“かわいい”なんて言葉を言って私の顔を真っ赤にさせた。
未だに、唯人君が言ってくれる“かわいい”に
免疫がない。
「夜深。おいで。手、冷えたんだろ?かして」
唯人君は俯く私の手を取って、自分のコートのポケットに入れてくれた。
「っ……」
「本当だ。すごい冷えてる。」
「……うん…」
冷えてるよ…
冷えてるけど、あのときみたいに……
掴まれた部分が熱いんだ。
唯人君…
私、嬉しかったよ。
迎えに来てくれて、一気に冷えた心が温まった。
唯人君は私の全てを温めてくれる。
「あったかい……」
私はそんな唯人君の温もりに触れながら、寒い中、タクシーまで歩いた。