唯人君と目が合う。
私は背伸びして唯人君の唇に自分の唇を
そっと重ねた。
「……夜深…?」
軽く触れるだけのキス。
寒いのに、唯人君の唇は暖かかった。
「唯人君…好きだよ。」
私…
「唯人君が私に“好き”って言ってくれても、私は唯人君に言ってなかった。だから……」
「……やっぱり…夜深はかわいいな。好きなんて、このタイミングで言われるなんて思ってなかったよ。」
「……サプライズ…?」
「うん。サプライズ…。」
「ふふっ」
「さぁ…帰ろう夜深。荷物はあれだけ?」
唯人君は私が置きっぱなしにした荷物を指差しながら、その荷物に向かって歩き出した。
私も、唯人君に着いていく。
「タクシー頼んだから、行こう。荷物は俺が持つよ。」
「…お…重いよ?」
「そう?」
私が両手でやっと持てた荷物なのに、唯人君は軽々と片手で持ち上げてしまった。